韓国登山の四日間 1
記・写真   荻原安廣    
  10月6日〜9日にかけて、韓国の雪岳山(1,708m)と北漢山(約800m)
               
へ登ってきました。


6日、成田発9時30分のKEでソウル(仁川空港)へ。

そこから車で約5時間、東海岸沿いの港町、束草(ソクチョ)に着きます。

雪岳山(ソラク山)の登山基地です。

海辺の町なので夕食は食べきれないほどのお刺身の豪華盛り合わせでした。

お刺身は、どれもフグ刺しのように薄く薄く切ってあってありました。

例によって、少し食べ過ぎました…。


7日、早朝目覚めて8階のホテルの部屋から外を見ると、灰色の空に白く波立つ海
、
横殴りの雨です。雨が降るなんて考えていなかったので思わず、マジすか…。

雨の様子を見ながら百潭寺(ペクタムサ)を観光し、時間をつぶしましたが

いっこうに止みそうもなく、五色温泉から(11時30分)遅い登山開始。



山頂の大青峰(テチョンポン)まで約5Km、4時間です。

あそうそう韓国では登山口からすべて禁煙だそうです。

うっかり吸ってしまうと30万円(日本円)の罰金です。

知らなかったでは済まされないのです。

最初の1時間は鉄骨の階段をひたすら直登していきます。

登山道はジグザグの道ではなく、直登が多いようです。



今日は平日で雨にも関わらず登山者が多く、韓国では登山がブームなのを実感します。

登山者は歩く速度も速く、私たちをどんどん抜いていきます。

そのためか階段の幅も2人がゆったり並んで歩ける幅に作ってあります。



韓国の人は登山道がジグザグに作ってあっても、

我先にと直登して登山道が荒れてしまうため、

手すりの付いた階段にすることによってかえって自然保護になると聞きました。

よく整備された幅広の登山道を、紅葉を楽しみつつ雨に打たれつつ

16時過ぎに薄暗くなった雪岳山の最高峰、大青峰(1,708m)に着きました。

山頂から約20分で中青避難小屋に到着。今日の宿泊地です。



小屋は大変綺麗で暖房も入っていて日本の避難小屋とはかなり違いました。

ちょっと山小屋事情は聞き漏らしましたが、雪岳山の山頂付近は

管理人のいる避難小屋で、カップ麺や貸し毛布はありました。



この夜は白ご飯にキムチとカレー、韓国海苔にスープをいだだき夜は更けていきました。

実は前々日の5日は、トレランのレースで15km走っていたのでアッという間に
爆睡でした。



一夜あけて8日。

期待していたのにこの日も雨。

しかし、韓国の山は大体岩山ですが、岩質が花崗岩なので雨でも滑りにくく、

足元のストレスはありませんでした。

北面の千仏洞渓谷を下りましたが、きれいな渓谷で、途中から雨があがり、

白い花崗岩と紅葉のコントラストが素晴らしかったです。



また、韓国の山では、露出している水はすべて飲めるということでしたが、

やはり花崗岩だということが影響しているのでしょうか。



約8時間で麓の雪岳洞着。予定以上の時間がかかったので、お風呂

にもはいらず、臭いままバスに乗ってソウルへ。

 


 



韓国登山の四日間 2
 
今回の韓国登山は日本から10名、香港から2名、中国本土から1名、韓国人ガイド2名の

総勢15名の団体でした。参加者の年齢は私が平均というところでしょうか。

韓国で4日目は北漢山(プッカンサン)に登りました。



まだ夜明け前の5時にソウルのホテルを車で出発。散水車で掃除された直後の空いた国道

をスイスイと30分ほど走ると登山口です。愛煙家はここで喫煙を楽しんでから出発。登山

中タバコは絶対ご法度で、つい吸ってしまうと高額な罰金が課せられます。



登り始めると静かな登山道で、対岸の山から時折兵隊が訓練しているかけ声とマシンガン

の銃声が山にこだまするのがよく聞こえました。その都度緊張が走り、改めてここは韓国

なのだと実感。


2時間ほどでソウル市内を見下ろす花崗岩の岩の上に到着。朝モヤに市内の高層ビル群が日

射しを反射して輝いていています。



時刻は8時ごろ、ここで韓国風の海苔巻きを美味しくいただきました。



30分ほど休憩し、すぐそばのインスボンなど岩峰の風景を楽しんだ後少し下って、牛耳洞

(ウイルドン)コースとの合流点に到着。

合流点からすぐにインスボンの基部にある国立公園管理小屋があり、ザックを置いて北漢

山の最高峰白雲台836.5m(ペグンデ)へ向かいます。



20分の登りで白雲山荘に到着。ここで温かい麺がでて、朝食だということです。さっき食

べたお寿司は何だったのかと感じつつ、まぁ美味しい朝ごはんは何回あっても良いもの!

 さあ白雲台を往復。

うどんのおかげで山頂までは早足で17分弱。岩場に張られた鎖を頼りに山頂へ一気に駆け

登りました。インスボンの壁をよじ登るクライマーを見ながら、360度の展望を楽しんだ

後は、急いで下山。


温泉に寄って汗を流し昼食に待望の冷麺を食べて、飛行場へ。


過密スケジュールでしたが、美味しい料理と紅葉に彩られた韓国の登山の4日間は快適で楽

しいものでした。

同行メンバーによると、20年前に雪岳山に登った時は登山道はゴミだらけ、山小屋の周りも

ゴミだらけ、トイレなんか入れたもんじゃなかったのに、今は山も小屋も本当に綺麗になっ

ちゃって、凄い努力をしたんだなと思うと涙が出ちゃうわとのことでした。


韓国は登山ブームで、日本にもたくさんの韓国人が登山を楽しみにやってきているようです。

登山者は30代〜50代が中心で、韓国には高い山がないので日本の山を登るんだそうです。

特に北アルプスの槍ヶ岳が人気だと言っていました。

そして今年は韓国のテレビで北アルプスの剣岳が紹介されたので、来年はたくさんの韓国人

が剣岳に登るでしょうという話もでました。


日本も韓流ブームで韓国ツアーが増えているようですが、日本の一般登山者にとって、韓国

の山はまだなじみがありません。隣の国で、山好き同士の交流ができたら、また新しい山の

楽しみが生まれるだろうと感じながら、夜の飛行機に乗りソウルを後にしました。
 
北漢山 山頂